ある経営者が2人いた。
一人は、愚直にオールドビジネスと世間では言われるビジネスをはじめた。競合も多く、家族経営の会社も多い業界だった。
もう一人は、さまざまな才能に恵まれていた。さまざまな分野に興味を持ち、いろいろな会社の強みを取り入れ、自社を強大なコングロマリットにしようと事業をはじめた。
10年が経った。
オールドビジネスをはじめた経営者は、着実にその事業を大きくしていた。
80名にものぼる従業員を抱え、地元では一目おかれる存在になっていた。
一方の才能に恵まれた経営者は、未だに小さなオフィスであくせくと働いていた。仕事はなんとか取り続けているが、未来のことを考える余裕などなかった。とにかく、”今”をなんとかしなければならない、という思いで一杯だった。
この2人の運命を分けたのは、才能でも、資金でも、人脈でもなかった。
運命を分けたのは、「未来をみつめる目」だけ。ただ、それだけだ。
オールドビジネスをはじめた経営者は、起業当時から未来を見ていた。3年後にここまでいこう、5年後にここまでいこう、10年後にはここまでいこう。
その計画に則り、着実に進めてきた。
才能に恵まれた経営者は、未来を見ていなかった。「今、この売上がこうだから、将来的に積み重なっていけば、なんとかなるな。」
そこには「計画」は何も無かった。
・・・・・・・・・・・・
いままで多くの企業様をコンサルティングして来た経験から、1つだけ確実に言えることがある。
「成長する企業は将来をみつめ、成長しない企業は過去をみつめる」という事実だ。
成長しない(成長できなかった)企業の特徴としていくつか共通することがある。
【成長しない(出来なかった)企業の特徴】
●数値を見るのは決算の時だけ
●資金繰り管理がなされておらず、その日暮らし的に、毎月の売上だけを考えている。
●試算表などは確認できない
●事業計画・経営計画は無い。
成長しない(出来なかった)企業は、いってみれば「いきあたりばったり」の生活を送っていることがおおい。なにか案件が出て来ると、自社では難しいのに取りに行ったりしてしまう。なんとか毎月の費用負担を賄う分だけの利益を確保しようと必死になる。
だから、数値面での現在〜未来に対する管理はまったくなされていない。
あって、売上目標位のものだ。ここ半年間で、こういった売上確保をしないと継続出来ないという「ネガティブ」からの売上目標であったりする。
だから、当然のように3年後の計画などは作っている訳がない。
数値を見るのは1年に一回、決算の時のみ。
そこではじめて1年を振りかえる訳だ。
しかし、決算から既に2ヶ月が経ち、納税申告の際に税理士から提出された決算の説明を受けても、既に新しい期は始まっている。2ヶ月も新しい期になってから経過してしまっている。そのため、また同じ事を新しい期も繰り返してしまう。
一方で、成長する企業はこの反対の特徴を持つ。
【成長する(成長した)企業の特徴】
●出来る限り短いスパン(期間)での試算表の確認が可能
●決算は最終的な着地の確認だけであり、期中で都度自社の現在位置が確認出来ている。
●きちんとした企業理念を持つ(ベクトルがズレにくい)
●3カ年もしくは5カ年の事業計画を持つ
●事業計画に対しての予算対実績の管理をきちんと行っている。
列記してみれば、極めてシンプルなことであり、また当然のことのように思える。
しかし、出来ていない企業の方が大半なのではないだろうか?
事業計画は数値を簡単に組み合わせるだけのものではない。
たとえば、3時間でできるような事業計画は事業計画の体をなしていないことの方が多い。
「売上このくらいかな」
「原価率このくらい」
「だいたい人件費はこんなもの」
で作成された事業計画には、愛情も執着もなく、単に数値の羅列にしか過ぎない。
オールドビジネスを展開した経営者は、最初に愛情をもって経営計画を策定した。そして毎年、見直しを行っていた。だから予想よりも早く、当初予定していたフェーズに到達することができたのだ。
あなたは、どちらの経営者だろうか?
あなたの会社は事業計画を作っているだろうか?
あなたの会社の事業計画は愛情と執着をもって作られているだろうか?
あなたの会社は、成長する企業と成長しない企業のどちらだろうか?
0コメント